エンジンオイルについて

最近エンジンオイルを交換したので報告など

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出典:https://amzn.to/32cagwB

今回はMOTUL 7100 10W-60を入れてみたので感想を

  • 高回転時は非常に良い
  • メカノイズが減った
  • 街乗りで使用する回転数ではギアの動きが重くなる
  • パワーバンド・トルクバンド付近は気持ち悪い感じ

といったところだけど概ね満足っす。

それはそうと、交換にあたってもう一度エンジンオイルについて調べたのでその結果を書いていく。

 

エンジンオイルとは

エンジンオイル=ベースオイル+添加剤

なんだけど、とっても簡単に端折って説明していくよ。

ベースオイルの役割

ベースオイルの役割というかエンジンオイルの役割

  1. 潤滑 金属同士の摩耗や焼き付きを軽減する
  2. 密封 シリンダーとピストンの隙間を埋める
  3. 冷却 エンジン内部で発生した熱を吸収する
  4. 洗浄分散 エンジン内部の汚れを取り込んだり分散する
  5. 防錆 水分や酸が原因で発生する錆を防ぐ
  6. 応力分散 オイルがショックを受け止め力を分散させる

添加剤の役割(種類)

  1. 清浄分散剤 エンジン内部の汚れを取り込み分散する
  2. 粘度指数向上剤 オイルの粘度が大きく低下しないようにする
  3. 流動点降下剤 低温時でもオイルが硬くならないようにする
  4. 極圧剤 大きな力を受け止め金属摩耗の防止
  5. 酸化防止剤 エンジンオイルの劣化防止
  6. 摩擦調整剤 その名の通り
  7. 消泡剤 泡を消す
  8. 防錆剤 錆の防止
  9. 着色剤 色を付ける

色々あるけど、ベースオイルは食材で、添加剤は調味料のようなものだね。

調理方法や味付けによって食材は様々な料理になるように、エンジンオイルもベースオイルと添加剤の組み合わせよって様々な性質を備えることができる。

自分がエンジンオイルに何を求めているか把握すること、それを満たしてくれるオイルとメーカーを探し出すことが大事。

ということで次からが本題っす。

エンジンオイルの規格

規格が分かればオイルが分かる!

てな感じで、知っとくと今後のオイル選びが楽しくなると思う。

SAE規格

SAE規格のJ300がエンジンオイルの粘度に関する規格だよ!
みんな知っていると思うけどオイル選びで最初に見る部分なので…

10W-40

10W

低温時のオイル粘度を表していて、数字が小さいほど始動性が良い。(粘度が低い)
因みにWはWinterの略で冬季に対応しているオイルということ。

数字は「外気温何℃までオイルが対応しているか」を表している。

  • 0W -35℃
  • 5W -30℃
  • 10W -25℃
  • 15W -20℃
  • 20W -15℃
  • 25W -10℃

これだけみると「自分の地域は-25℃までいかないし、10W-40より20W-40の方が良いんじゃね?」と思うかもしれないが、始動性が悪くなり暖気時間が長くなるデメリットがあるのと

粘度が高い=エンジン各部の動きが重くなる=燃費が悪くなる

という問題も挙げられるし、最悪エンジンが掛からなくなる。(クランキングできない)

 

ところで「低温時の粘度って何℃のこと?」って気になるよね。

SAE粘度

クランキング粘度
以下,[mPa・s]/温度[℃]

ポンピング粘度
以下,[mPa・s]/温度[℃]

動粘度
(100℃)
以上,
mm2/s

0W 6,200(-35℃) 60,000(-40℃) 3.8
5W 6,600(-30℃) 60,000(-35℃) 3.8
10W 7,000(-25℃) 60,000(-30℃)
4.1
15W 7,000(-20℃) 60,000(-25℃)
5.6
20W 9,500(-15℃) 60,000(-20℃)
5.6
25W 13,000(-10℃) 60,000(-15℃) 9.3

0Wと5W、15Wと20Wは動粘度の条件?が同じなんだね。

  • クランキング粘度が低いほど始動性が高い
  • ポンピング粘度はオイルポンプが自力で吸える最低温度

ってことだろう…

この表によると、大排気量(発熱量が多い)車は粘度を高くし、小排気量(発熱量が少ない)車は粘度を低く設定できるってことじゃないかな?

例えば、ハーレーは20W-50が指定粘度だけど、力強いセルモーターと吐出量の高いオイルポンプのおかげでクランキングに支障が出ないんだろうね。(知らんけど)

エンジンオイルの低温時の粘度については以下のページが詳しく解説している。(安定の丸投げ)

www.juntsu.co.jp

40

こちらは高温時のオイル粘度を表している。
数字が大きいほど高温に強く、小さいほど燃費が良くなるらしい。

粘度別の数値は以下の通り

SAE粘度

動粘度
(100℃)

以上,
mm2/s

動粘度
(100℃)

未満,
mm2/s

高温高せん断粘度

(150℃,106s-1)
以上,mPa・s

30 9.3 12.5 2.9
40 12.5 16.3

3.5

(0W-40,5W-40,10W-40)

40

12.5 16.3

3.7

(15W-40,20W-40,25W-40,40)

50 16.3 21.9 3.7
60 21.9 26.9 3.7

これを見て何がわかるのかって?僕はよく分からないw

そもそも動粘度をよく分かってないから「数字が小さいと柔らかいオイル」ぐらいしか読み取れない…

動粘度とは?

一定容量の液体が規定温度において、粘度計の毛管内を自然流下するのに要した時間(秒)に粘度計の定数を乗じたものです。数値が大きいほど粘りがあるオイルとなります。 

出典:【用語解説】動粘度、粘度指数|住鉱潤滑剤株式会社

…まぁ大体あってるね!

高温高せん断粘度とは?

HTHS粘度とは「High Temperature High Shear Viscosity=高温高せん断粘度」のことで油温が150℃の時に高熱、せん断による厳しい影響を受けた状態での実効粘度を表しています。

HTHS粘度は2.6(mPa・s)を下回るとエンジン各部の摩耗が飛躍的に増大することが知られており、HTHS粘度が2.6以上あることが耐摩耗性の大きな目安となります。実際のエンジンでは油温が150℃まで上がるような過酷な状況はあまり起きませんがそれ以下の油温でも摩耗量について同じ傾向が出て、軸受やピストンリング・シリンダー、カム・リフターなどに大きな影響があります。

HTHS粘度はより高いほど摺動面等の摩耗量が少なく、高負荷に対応し、耐熱・耐せん断性だけでなく、総合的に優れた潤滑性能を持つオイルです。

出典:ミカド商事株式会社

HTHS粘度は高いほど保護性能が良いという事なので、粘度は変えず保護性能などを向上させたい場合はこの数値を目安にすると良いかもね。

次にもう一つの規格を…

JASO規格

JASO規格とは、日本自動車規格によって定められたエンジンオイルの特性を表す規格です。

  • 動摩擦維持指数(DFI)
  • 静摩擦維持特性(SFI)
  • 制動時間指数(STI

という3つの特性を測定し、基準指数内ならMA、基準指数以外ならMBとなります。

出典:バイクライフをより楽しくさせる! グーバイクマガジン

 特性は以下の通り

  • MA 高い摩擦特性を持っていて、せん断安定性が高い
  • MA1 MAの摩擦特性の範囲内で粘度を高めにしたもの
  • MA2 MAの摩擦特性の範囲内で粘度を低めにしたもの
  • MB 摩擦特性が低い

摩擦係数の違いで分類されるが、乱暴に言うと「クラッチが滑りやすいかそうでないか」ってこと。

  • 湿式クラッチはMA
  • それ以外(スクーターとか)はMB

てな感じで覚えておけばいいと思う。

指数基準

動摩擦特性指数
DFI

静摩擦特性指数
SFI

制動時間指数
STI

MA 1.35以上
2.50未満
1.45以上
2.50未満
1.40以上
2.50未満
MA2 1.50以上
2.50未満
1.60以上
2.50未満

1.60以上
2.50未満

MA1

1.35以上
1.50未満
1.45以上
1.60未満

1.40以上
1.60未満

MB 0.40以上
1.35未満
0.40以上
1.45未満
0.40以上
1.40未満

数字で見るとこんな感じだけど、もっと詳しく知りたい方はJALOSの資料から…

ここには登録されているオイルの性能分類と粘度が閲覧できるので、オイル選びに役立つかもね!

API規格

アメリカ石油協会、SAE、アメリカ材料試験協会(ASTM)が定める規格で、簡単に言うとオイルの性能を格付けしたもの
SA〜SPまで14種類のグレードが存在するが、現在はSJ,SL,SM,SNが有効で、SH以前は廃止となっている。

2020年5月から運用が始まっているSP / RCが最新らしいよ。

各グレードについて詳しく知りたい方は以下のページを…

qa.jaf.or.jp

粘度指数

オイルの温度に対する粘度変化の度合を表します。数値が大きい方が温度変化に対して粘度変化が少ないオイルとなります。

出典:【用語解説】動粘度、粘度指数|住鉱潤滑剤株式会社

例えば、同じ10W-30でも粘度指数が高い方が一定の粘度を保ちやすいってこと。
VIで表記されることが多いよ!

100が基準値?になっている気がする…

小まとめ

ザックリいうと、10W-40 MA SJ VI 30 より 10W-40 MA2 SN VI 100 の方が性能が良いので、ベースオイルが同じでも後者の方が高価になる場合が殆ど。

ということで、次はベースオイルとかの説明。

エンジンオイルの種類

「粘度が高いと高温に強い!」と思いがちだが、実はちょっと違ってベースオイルと添加剤が関係してくるんだよね。

皆も聞いたことあると思うけど、それぞれの特徴とメリット・デメリットを説明する。
エンジンオイルの種類というかベースオイルの種類だね。

はじめに

「そもそもベースオイルってなんぞや?」ということでざっくり紹介

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オイルは原油を精製することにより抽出されます。原油を加熱、沸騰させることにより蒸気を発生させ、その蒸気を冷却し、各種石油製品が出来上がります。この方法を「常圧蒸留法」といいます。

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出典:ベースオイルの製造種類と添加剤 | 日本サン石油株式会社

的な感じ…

 

 

なんか違うけど気にせず次にいこう

鉱物油(ミネラル)

特徴は以下の通り

  • 熱には弱い
  • 化学合成油ほどの性能はない
  • 性能の劣化がおだやか
  • 分子量などは厳密にそろえることができない
  • 価格が安い

原油にはナフテン系とパラフィン系があるんだけど、ペンシルバニア産のパラフィン系オイルはとても品質が良い。

…というのは昔の話で、精製技術だったりが進んで産地による性能差はあまりないらしいよ。

鉱物油の中にもグループが存在しているが、以下の通り

 

粘度指数

飽和炭化水素
(%)

硫黄分
(%)

グループⅠ 80~119 <90 >0.03
グループⅡ 80~119 ≧90 ≦0.03

グループⅢ

≧120 ≧90 ≦0.03

 

鉱物油の中でも良いものを使いたい場合はグループⅢを選ぶのが吉。
「そんなもん分からんでしょ」と思うかもしれないが、製品安全データシート(MSDS)を見ると記載されていることがある。

大体が”企業秘密”ってなってるんだけどね

因みに、グループⅢはVHVIと呼ばれており化学合成油と表記されることが非常に多いけど製法による違いだからかな?

 

部分合成油(セミシンセティック)

特徴は以下の通り

  • 化学合成油と鉱物油をブレンドしたもの
  • 鉱物油よりも高性能
  • 化学合成油よりもコストを抑えることができる

グループⅢにグループⅠ、Ⅱを混ぜた場合でも部分合成油と表記することが可能だけど、見分け方としては安価だったら鉱物油を混ぜたオイルの可能性が高いって感じかな?

知らんけど


「それっておかしくね?」と思うかもしれないが、配合率や表記に規定がないから問題ないらしいよ。

立ち位置が微妙なオイルだけど、コスパが高い場合が多いので”そこそこのオイル”を求めている人には良いかもね。

化学合成油(フルシンセティック)

特徴は以下の通り

  • 寒さに強く固まりにくい
  • 高温にも強く粘度変化が少ない
  • 劣化しにくい
  • 燃えにくく、蒸発もしにくい
  • 極性を備えているものもあり、金属表面に吸着する

性能は最高だけど価格も最高なので、価格よりパフォーマンスを重視する人向け。

  • グループⅣ PAO(ポリαオレフィン)
  • グループⅤ グループⅠ~Ⅳに属さないもの(エステル等)

の2種類に分類される。

 

PAOの特徴は以下の通り

  • 成分や分子量が一定なので、幅広い粘度を比較的自由に作れる
  • 鉱物油に比べると低温流動性、せん断安定性などに優れる
  • 鉱物油と同様に無極性の炭化水素なので、置き換えがしやすい

グループⅤエステル系)の特徴は以下の通り

  • 動植物の脂肪酸とアルコールを化合して生成される
  • 天然ガスから作られる場合もある(シェル アドバンスなど)
  • オイルを金属表面に吸着させる効果があるが、加水分解によって劣化しやすい
  • 添加剤として使われることが多い

ポリオールエステル、ジエステル、コンプレックスエステル、ひまし油、アルキルナフタレンなどの種類がある。

小まとめ

ベースオイルは”全合成油が良い”訳ではなく、”どのグループを使用しているか”によって良し悪しが決まる。
もちろんどんな添加剤を使ってるかもね。

具体例

数字ばかり書いても分かりにくいので、最後にバイクごとの推奨エンジンオイルを記載する

僕の独断と偏見によるものなので、当然、各車両ごとの相性は考慮していないし、あくまで参考程度に見ていただけると…

原付スクーター

  • 10W-30 MB 鉱物油

主に通勤通学や日常の足で使用する場合におススメ。
暖機?なにそれ?って人は、部分合成か全合成の0W-30にした方が良い。

というか、オイル管理が面倒な人は、全合成油にすると良いと思う。

スポーツバイク

  1. 5W-30,5W-40 MA2 化学合成油
  2. 10W-30,10W-40 MA 部分合成油
  3. 10W-50,10W-60 MA2 化学合成油

1.スポーツ走行向きだが、しっかりオイル管理できることが前提
2.街乗り~ツーリングまでこなすし、財布にやさしい
3.大排気量や熱ダレが気になるバイクにおススメ

オススメしといてなんだけど、粘度はオーナーズマニュアルを守ってね!

クルーザー

  1. 10W-40,10W-50 MA 部分合成油
  2. 15W-50,10W-60 MA2 化学合成油
  3. 20W-50,20W-60 MA2 化学合成油

1.小~中排気量もしくは、発熱量が少ない車両向け
2.大排気量もしくは、発熱量が多い車両向け
3.HD、1500cc以上、チューニング車両向け

「夏場は暑くて乗れない」って人は、粘度とベースオイルを変えるだけで随分改善されますよ。

因みにガルフによると…

ロングストローク」エンジンには ・・・・・・・・・・・ 固めのオイル
ショートストローク」エンジンには ・・・・・・・・・ 柔らかいオイル

出典:gulf-japan.com

ということらしいよ。

旧車

鉱物油+高粘度

主に80年代以前のバイクに言えることなんだけど、エンジン内部のシールは合成油に対応していないのでオイル漏れの原因になる。
逆に言えば、エンジン内部のシール類を交換すれば合成油が使えるようになる。

それと、古いバイクはエンジン各部のクリアランスが大きい(過走行車含む)ので、粘度の高いオイルで密閉性を高めるのと、熱に強くしてあげることが大切。

具体的なオイルを挙げると…

ってところなんだけど、ぶっちゃけ鉱物油でも漏れる製品はあるだろうし、化学合成油でも漏れない製品があるとおもうので、やっぱり使ってなんぼ。

あくまで、「基本的には鉱物油なんだなぁ」くらいに考えてほしい。

おわりに

ここまで書いておいてあれだが、以下のページを見ると大体わかる。

エンジンオイルは数値で性能は判断できるけど、最終的には使って気持ちいいかどうかが大事。

つまり使って判断するしかないんだよね。

 

それでも困ったら純正にしておけばいいと思うよ!

以上